「いしゃまち」というサイトに出筆を依頼されました。
お題は「いい歯医者さんの選び方」、本編では編集の上掲載されていますので、以下にボクの送った原文を載せておきます。
「いい歯医者さんの選び方」
「いい歯医者さんの選び方」というお題目を頂戴いたしました歯科医師の山内と申します。私自身が歯医者なのでそんなに上から目線でお答えできるものでもありませんが、四半世紀にわたり真剣にひとつの職業に徹してきたことは事実なので筆を執らせていただきます。私の主観も大いに入りますのでお読みぐるしいところはご容赦いただけると幸いです。
さて、まず急なお痛みが出たときです。多くの方はこの状態から歯医者さんを探すことが多いのではないでしょうか。ご家族や周囲のご同僚などに聞いてみる、いわゆる近所の評判です。実際に通院なさった方からの生の声は参考にできそうですね。その医院の清潔感やスタッフの対応などにより印象は異なります。ぜひ参考になさってみてください。清潔感を持ち気持ちの良い対応がいただける歯科医院はそれだけでも実力をうかがうことができます。ただし相性もあるでしょうし、実際の治療の方向性は別かもしれません。歯医者さんに求める欲求は人それぞれです。そこでやはり今の時代であればネットを通してその歯医者さんの特徴などを調べられてはいかがでしょうか。あなたはどうしても他の患者さんにお口の話を聞かれたくなければ個室対応の歯科医院や完全予約制の歯医者さんを選択したほうがいいかもしれませんし、どうしても仕事終わりの遅い時間しか歯医者さんに行けないのであれば診療時間の遅い歯医者さんがいいことでしょう。それぞれの歯医者さんが患者様に合わせる努力として土日対応や、深夜対応の歯医者さんも都市部では増えてきています。私の見てきた歯医者さんたちもとても努力をなさっていらっしゃる先生方が多いです。ホームページやブログを通して情報提供を更新する努力を続けている先生も今はたくさんいらっしゃいます。参考になると思いますよ。
そのうえで上手な歯医者さんの見分け方、皆様には重要ですね。まずはよく話を聞いてくれて、その後の検査項目などを的確にわかりやすく伝えてくれる先生。診断が的確で、納得の上診療に移行いただける先生。リラックスさせてくれて、なおかつあまり痛くなく主訴を取り除いてくださる先生。初見ではこんな感じでしょうか。
そしてここからがさらに重要と思います。痛みが落ち着き、あるいはさしあたり噛んだりお食事したり就寝できたりおしゃべりしたりができるようになってから、つまりあなたが少しでも落ち着きを持った段階で色々とお話しくださる先生がいいと思います。痛くてどうしようもない時にやれこうしなきゃダメだとか、こんなにほっとくあんたが悪いなどと伝える歯医者さんは・・・ではないでしょうか。弱い立場の時には少しアンフェアですね。原因を見極め、今後の課題と診療の選択肢を具体的に示し、その後のケアまでお話を聞いてみてください。きちっとした態度で理解しやすくお話しいただける先生で、選択肢が幅広い先生にいい歯医者さんが多いと考えます。患者様のことを思い、経営のことも考え、よく勉強なさっている先生がいいでしょう。やはり医療は日進月歩、あまりプアーでは最新の技術や器具を取り入れられません。
さらにいうなら、口腔疾患の原因は虫歯菌や歯周病菌などのバクテリアや細菌だけではありません。噛む力が歯にひびをもたらしその隙間から虫歯になったり、強すぎる咬合力が歯周組織を破壊したりします。力のコントロールも重要なのです。歯ブラシやオーラルクリーニングも重要ですが、歯ぎしり(ブラキシズム)や噛み合わせについても注視し、的確な診断ができる歯医者さんがいいでしょう。意外と少ないんですよ、ここまでできる歯医者さん。
CTだけでなく、必要なときはセファロ分析や、顎機能検査(CADIAX)まである施設であればなおいいかもしれませんね。
なんて歯医者のくせに書いてしまいました。でもやはり大切なご自身の身体の一部。まして食事のスタート地点でありコミュニケーションの重要なツールである顎口腔系です。またどんな歯科治療もフェイストゥーファイスです。あなたに合った素敵な歯医者さんに巡り合えることをお祈り申し上げます。(Koji Yamauchi)
2014年9月10日 カテゴリ:歯科医師 歯医者 山内浩司 and tagged 歯医者、いい歯医者